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概念と具体のミルフィーユ

今週,勤務している高校のスクーリングで高知まで行ってきました。
スクーリングでは,数学の課題プリントのサポートをしました。
生徒さんは,数学の課題プリントが苦手です。
なぜなら,教科書を探しても同じ問題が見つからないからです。
皆様ご存知のように,数学の問題は数値を変えれば,問題のバリエーションは無限です。つまり,試験勉強の際に,教科書を丸覚えしても,ほぼ同じ問題は出題されません。

課題プリントの問題を,だいたい次のような流れで進めます。

1)概念を伝える
:例えば,「二次方程式って?」「三角比って?」など
…取り扱う問題が,ふわーっとどんな世界観にあるのかのお話。ここは雰囲気を掴んでもらうだけでいいので,生徒にも「話として聴いとくだけでOK」と伝えます。
2)必要な定義や公式を伝える
:解の公式とか,sin,cosの定義など
…公式や定義は,一般化するのでどうしてもa,b,cとか文字だらけになります。これが食べづらさを助長しています。
3)具体的な問題を1問解説する
:x2-5x+5=0とか,辺の長さが3,4,5の直角三角形のsinやcosなど
…ここで,a,b,cの文字が数字に置き換わって「あ~そういうことなのね」というのを感じてもらいます。
4)具体的な問題を一緒に解く
:x2ー3x-1=0とか,辺の長さが5,12,13の直角三角形のsinやcosなど
…このとき,3)のときとどこが変わるのかを意識して,生徒さんに置き換えを発問,確認しながら進めます。

ここまでやって時間が許せば,自分で他の類題を解いて,置き換えに慣れていってもらいます。

数学を教えながら,何を習得していって欲しいと思っているか。
①型(いわゆる公式や解き方)
②問題が出た時に,どの型が適用できるかを見極める力

…正直どの型を使えばいいかが分かれば,計算はコンピューターがしてくれる世の中です。

例えば,
解の公式:ax2+bx+c=0 の答えはx=(-b±√b2-4ac)/2a →これは1)です。
で,具体の問題をx2-5x+5=0を見た時に,これは解の公式を使って解こうとなります。x2+8x+5=0も解けますし,2x2+3x+1=0も解けます。
この3つの式,具体では異なりますが,同じ型であると見えるかどうかがポイント。

この話,もう少し抽象化すると,
①概念や法則の理解
②具体への適用

高校の生徒さんたちが学んでいる数学は,①が分かっている中で,②を導き出す練習を繰り返し,解けるようになっていっているとも言えます。

さて,これってビジネスの世界においても大事な思考法です。例えば,
「暑いときには,あったかい商品が売れない。」
…これは【①概念・法則】です。
①を踏まえて,
「夏に,肉まんは売れない。」
「炎天下の日に,ホットコーヒーは売れない。」
…これらは【②具体化】です。

すでに過去の経験や事例から【①概念・法則】が分かっている場合は,それを踏まえて【②具体化】の仮説を立て,実行してみたらよいですが,このVUCAの時代,【①概念・法則】がわからなかったり,時代に合わなくなってきていることも多々あります。そうなると,【②具体化】をたくさん集めてきて,【①概念・法則】を導き出すということも必要です。

皆さんの日々の仕事の中で,求められているのは
【①概念・法則】→【②具体化】が多いでしょうか?
【②具体化】→【①概念・法則】が多いでしょうか?
結局は,【①概念・法則】と【②具体化】を行き来させながら,私たちは様々なことの理解を深めたり,体得していってるんでしょうね。

高校生に数学を教えながら,結局数学を通して何を私は伝えたいんだろう~と考えたことを,綴ってみました。

※2乗がうまく上付き数字にできていません。ご了承くださいませ。

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