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山陽新聞連載Vol.3 模試編集で学んだ視点

山陽新聞で連載を担当しているコラム「一日一題」、今回は第3回目の記事をご紹介します。最後にはブログ限定の小話も書いていますので、合わせてお楽しみくださいね^^

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模試編集で学んだ視点

高校の数学教師を志していた私は、教壇に立つ前に社会を知りたいと考え、就職しました。せっかくなら教育に関わる仕事がしたいと、選んだのはベネッセコーポレーション。「算数・数学が好きな子どもを一人でも増やしたい」「イキイキと働く母親になりたい」という思いを胸に入社しました。

配属先は、模擬試験の数学編集。問題や採点基準を作る仕事で、自分の得意分野に関われることにやりがいを感じていました。あるとき、採点基準を決める場で、解答の途中まではしっかり書けているものの、最終的な答えが間違っている答案をどう評価するかが議論になりました。

当時の私は「数学は正しい答えが出るもの」という考えを持っていて、この答案は高く評価すべきではないと意見しました。それに対し、上司が投げかけてくれた問いは「ここまで考えて書いている答案が、ほとんど評価されずに返ってきたら、受け取った生徒はどう感じるだろう。これからも数学を頑張ろうと思えるだろうか」。その言葉に、はっとしました。「正しいかどうか」だけを見ていた私に、「何のための評価か」という視点が加わった瞬間でした。同じ答案でも「正確さ」を重視するのか、「学びの過程」を評価するのか、目的によって判断は変わるのだと気づきました。

それ以来、物事を見るときに「こちらの立場から見るとどうか」「別の立場から見るとどうか」と考え、その上で「今回はどの視点に立つのか」を意識して選ぶようになりました。

この経験は、今の仕事にもつながっています。職場で誰かにフィードバックをするときも「何のため」と考えているか。相手の成長につながるのか、ただ指摘しているだけなのか。一つの正しさだけで判断せず、目的を考え、複数の視点を持って対応しています。

あなたは今、どんな視点で物事を見ていますか。少し立ち位置を変えてみると、新しい見え方があるかもしれません。

2026.4.16

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メイキングエピソード:

新入社員で鼻息の荒かった頃(笑)を懐かしく思い出しながら書きました。あの場面、実は「この答案は0点でもいいのでは」と上司に主張し、優しく諭されたのです。
模擬試験は何十万人規模で実施されます。その採点基準をつくる上で重要なのが「信頼性(何回やっても同じ結果がでるか)」と「妥当性(測りたい力を的確に測定できているか)」。この2つのバランスを取るのは、想像以上に難しい仕事でした。
その後も、算数・数学の編集を担当する中で、この2つの軸と、子どもたちにとってどうかという視点を、常に行き来しながら考え続けていました。
難しいけれど、とても面白い仕事の一つでした。

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